引っ越し費用(引越代)の受領時期【後編】

引っ越し費用

引っ越し費用(引越代)の受領時期【前編】』の続きです。

『引っ越し費用(引越代)は、いつもらえますか?』

相談者・債務者の方から、必ずと言っていいほど質問を受けます。

引っ越しや引越費用に対する考え

引っ越し費用がなく、どうしたらよいでしょうか?【後編】』で述べさせていただきましたが、引っ越し費用は、債務者の方自身で作るのが原則です。

昨今、債権者から引越費用の捻出が、次第に厳しくなってきている実情を踏まえると、このやり方こそが正攻法です。

したがって、このような状況の中では、債務者の方が担保不動産に居住中の場合には、買主様に引き渡す直前まで、居住し続けることが、何より債務者ご本人のためになります。

特に任意売却の場合、引っ越しをすれば、新しい居住先の賃料が発生しますので、節約のためにも、ギリギリまで住むのが、やはりよろしいのかと存じます。

引っ越し費用の受領

前編と繰り返しになりますが…

不動産の決済は、物件を明け渡して、空き家になったのを確認したうえで、売買残代金の授受をして、所有権移転手続きを行い、完了するものです。

したがって、決済日の前日までには、引っ越しを完了する必要があり、引渡(決済)前に、引っ越し費用が受領できないのは、前編で説明をさせていただいた通りです。

つまり、引っ越し費用(現金)を受け取れるのは、引越し後、決済の場所で…ということになるわけです。

もちろん、引越屋さんが、後払いでOKをしてくれるのであれば、費用負担は一時的には、問題はないのですが、通常、多くの引っ越し屋さんでは、作業完了時に費用請求をしますので、引っ越し業者さんへの後払いという選択肢は、あまり現実的ではありません。

(※むしろ、『後払いで!』…などと言ったら、怒るのではないでしょうか?)

原則的な考えでは、困難さが伴うという現実

前編から『引っ越し費用(引越代)は、自分で準備をして、立て替える必要がある!』ということを、長々と申し上げきたのでしたが…

一方で、残念ながら、そのような原則論だけでは、簡単にいかないのが、現実です。

住宅ローンの支払いを止めているとはいえ、なかなか思うように、まとまったお金を確保するのは、極めて難しいのが、債務者の方の現実なのです。

例え、債権者が認めてくれる金額が、10万円や20万円という金額であったとしてでも…です。

身内の方に一時的に、引っ越しのためのお金を借りるという方法もありますが、親類関係の付き合いが疎遠になっている場合や、関係がぎくしゃくしたりしている場合には、頼みづらいのでしょう。

都心部に住んでいる場合では、頼れる身内や知り合いなど、全くいないというご家族の方も結構多いです。

引っ越し費用(引越代)の例外的な受領時期

この点に関しましては、一時的に立て替えることが、どうしても困難な場合には、任意売却を取り扱っている会社が、債務者の状況に応じて、対応しているのが実情でしょう。(※もちろん、会社によっては、全く対応をしていない場合もあります。)

つまり、任意売却の取引自体がまとまるかどうかを、総合的に判断して、『任意売却の会社が立て替えている』ということであります。

もちろん、この判断は、基本的には、売買契約後の判断であり、任意売却の相談・依頼時に立て替えるということではありません。

ちなみに、売買契約後と申しあげたのは、債権者 (金融機関)によっては、任意売却自体や引っ越し費用の控除を認めるかどうかが、わからないからです。

契約手付金から引っ越し費用の確保??

この点、相談者の方や、任意売却の会社の中には、『手付金の中から引っ越し費用の確保を!』…という方もいらっしゃいますが、あいにく手付金からの捻出は、本来あまりよろしくないことです。

この理由は、任意売却という取引が、引渡(決済)が終わるまで、何が起こるかわからない取引だからです。(※第三者の事情によって、左右されるということです。)

前編でも書きましたが、引渡当日、決済場所に来ない債権者もいますし、また、取引に係る諸事情によっては、契約が解除になる可能性も十分ありえます。(※そうした場合、手付金は、全額買主様に返還しなければならない事態となります。)

そもそも、手付金を仲介業者に預けたり、手付金をゼロしたりするのは、債務超過である、債務者の無資力を勘案して、保全の措置に講じて、取り決めがなされるわけであります。

こうした中、いまだ任意売却の完了していない段階で、手付金を引っ越し費用に充当してしまうのでは、取引上好ましくないのは、ごく当たり前のことです。

総括

『引っ越し費用(引越代)は、いつもらえますか?』…という質問に関しましては、原則としては…

『引っ越し費用(引越代)は、決済(引渡)時においてもらえる。』というのが、正しい回答です。

ただ、債務者・所有者の方の事情を踏まえると、そのような取り扱いでは、うまくいかないのが現実です。

そこで、この問題をクリアするため、実務上では、任意売却の会社が、一時的に立て替え、融通を利かせているのが、実際のところです。

よって、最終的な実務を踏まえた回答(結論)としましては、

『売買契約後、任意売却の決済前に、引っ越し費用(引越代)がもらえることがある。』というのが、債務者の事情を踏まえた例外的な回答になります。(※意味合いとしては、立て替え資金ということです。)

任意売却の会社が、柔軟に融通を利かせている結果、多くの債務者の方が救われているのも、また実際です。

債務者・所有者の方におかれましては、上記内容を踏まえ、任意売却の良い会社にめぐり会っていただければ、何卒幸いに存じます。

わかっていただけましたか?