勤め先の不祥事によって任意売却

不祥事

勤め先の不祥事によって任意売却

景気低迷によって、勤め先の会社の業績が悪化することは、よくあることです。

しかし、勤め先の不祥事によって、信用失墜し、業績が大幅に悪化することも、少なからずあります。

大企業の場合、不祥事が原因となって、業績が悪化することは、比較的少ないですが、中小企業の場合は、不祥事は決定打となって、それが従業員に直撃します。

不祥事により、事業の継続が難しくなり、その結果、従業員の給与や賞与が削減されて、住宅ローンを抱えている従業員の支払が困難になってしまうのです。

不祥事により給与などが削減され任意売却をしたIさん

勤め先経営陣の不祥事によって、給与が削減されたIさん

都内の中小企業に勤務していたIさん(50代前半)。

勤めていた会社の経営陣が、法人税などの脱税事件によって、逮捕されてしまいました。

当初は、それほど大きな影響はなかったのですが、やがて、主要な借入先から新規貸出の停止を受け、資金繰りが悪化。

それにあわせ、主要な取引先でもあった法人顧客も自社への影響を察知してか、次第に取引を辞めるようになっていきました。

身を案じた社員たちのそれぞれの行動

こうした中、比較的年齢の若い社員は、会社の先行きを案じ、離職をしていき…

一方で、Iさんのような再就職が難しいと思われる世代の社員では、容易な転職も難しく、ローンも抱えていたので、不祥事がありながらも、淡々と業務をこなしていました。

業績がみるみる悪化

しかし、残った年齢の高い社員の心身は、ともに疲弊が隠せないような状況に…。

その結果、業務に支障が出るようになっていったのです。

追い打ちかけるかのように、さらに業績が悪化。

かつては、その業界では大手とされる会社でしたが、信用失墜が意外にも、中小企業にとっては大きなダメージとなりました。

そうした中、従業員の賞与は支給されなくなり、それにとどまることなく、毎月の給与も大幅に削減されることになってしまったのです。

Iさんもその内の一人。

賞与どころか、給与まで削減されたのでは、とてもではないですが、ローン返済はできません。

幸い、任意売却については、以前から知っていたため、Iさんは、知り合いに依頼をすることで、自宅の売却を決意したのです。

住宅ローンの支払いを止めるまで

…とは言え、これまできちんと、ローンを支払ってきたIさんでしたので、支払えないとはいえ、初めて住宅ローンを止めるときは、勇気が必要でした。

Iさん、支払いをとめる前夜は、眠れなかったそうです。

最初にローンを止める時でさえも、その知り合いに、「本当に大丈夫?」と聞いて、恐る恐る聞いて、止めたのです。

真面目なIさんにとっては、住宅ローンが支払えないことは、とてもつらい出来事。

そうであっても、自己破産だけは選択したくないと考え、引越し代の件もあって、任意売却を決意されたのでした。

任意売却の活動開始

そんなIさんも、ローン返済を止める前は、大きな不安がありましたが、支払を止めた後は、気持ちが吹っ切れたせいか、意外にも早く任意売却を終えたという気持ちに切り替わることになったのです。

幸い、その後の債権者への任意売却の申入れは、比較的スムーズに進み、住み続けながら、任意売却の活動が開始されました。

Iさんの住んでいたマンションは、都内から電車で2時間ほどかかる郊外のマンション。室内はかなり綺麗な状態。

Iさんが綺麗に使っていた事もあり、「すぐに売却ができるのでは?」という思惑さえ、当初はあったのでした。

売却活動の難航

ところが、売却をしたい気持ちに反し、予想外にも売却活動は難航。

売却活動を開始して数ヶ月。なかなか買い手が現れません。

「もしかすると、競売にかかってしまい、任意売却ができなくなるのでは?」とIさんの頭の中では、一瞬、不安がよぎることに…。

しかしながら、幸運にも、何とかご近所の方から、購入希望者が現れ、無事に任意売却を終えることができました。

売却期間は、半年ほどかかりましたが、その間、引越し代も貯められたので、何よりホッとされたIさんでした。

その後のIさん

その後も勤め先の業績は回復せず、会社側は早期退職を募るなどして、事業の継続を図ろうとしましたが…

それも虚しく終わり、結果、Iさんは、10年以上にも渡り、勤めていた会社から解雇を言い渡されることとなったのです。

ただ、Iさんは、任意売却を決めた段階で、担当から、不祥事が発生した会社がどのようになっていくかを聞いていたので、在職期間中から並行して、就職活動を開始していました。

結果、売却が完了するタイミングにて、解雇されたものの、それにあわせるがごとく、再就職が実現できたので、何事もなかったかのように、手続きが終えることができたのです。

なお、任意売却後の残債務は、800万円近く残りましたが、解雇されたことで、支払が困難になったことを、債権者(保証会社)側に了解してもらうことができたため、残った債務については、支払金額に関する取り決めがなく、終わりました。

まとめ

住宅ローンが支払えなくなる状況は、景気停滞による会社の業績悪化に伴うものだけではありません。

会社経営陣による不祥事によっても、売上が減少となることもあります。

Iさんの場合は、任意売却に関わる正しい知識を得、さらには、勤め先に係る状況を、冷静に判断できる担当者から、色々とアドバイスされ、それを元に行動を実行に移したので、任意売却も再就職も無事にできたのだと思われます。

そうした意味では、任意売却における相談は、ただ単に、任意売却のアドバイスにとどまらず、多角的な観点から、アドバイスがあることも重要です。

任意売却の相談の際には、担当者が、売却の話だけにとどまらず、機知に富んだ対応をしてくれるかを、確認することも大切なことかと思います。

参考:『担当者が柔軟な行動をもって対応してくれるか?

【補足】売却期間について

ここ最近、債権者からの売出開始価格が高めであったり、また、郊外の離れた不動産では、相対的に、需要が小さくなったりして、売却期間が比較的長めとなる傾向があります。

上記では、室内の状況が良くても、半年ほど時間がかかったのですが、下記事例のように、室内の状況によっては、売却が難航する場合もあります。

参考事例:『【事例3】売却活動が難航した千葉の任意売却

気持ちの中では、早く売却したくても、それとは裏腹に、長引くことも結構多いです。

したがって、任意売却にあたっては、売却見込期間として、ある程度の長めのスパンをもっておくほうがよろしいかと存じます。