競売申立がなされた後に任意売却

自宅競売

競売申立後の任意売却

債権者が競売を申立した後でも、任意売却の承諾が得られれば、売却は可能です。

実際、競売開始決定がなされた後に、不動産業者は裁判所で配当要求終期の公告を閲覧し、債務者の自宅へと訪問し、任意売却で取り纏めるケースは、少なからずあります。

ただ、競売開始決定後に、任意売却をするとなると、時間的な都合上、纏められる可能性は、あいにく限られてしまいます。

(※東京地裁本庁の場合、競売開始決定後から、競売開札期日までの期間は、約4ヶ月~6ヶ月が一般的です。)

そのようなわけですので、やはり競売が申立てられる前に、任意売却の手続きを取るのが望ましいです。

住宅ローンを滞納し始めた段階で、任意売却を早期に検討される方は、競売手続きに入る前に、任意売却を終えたいという方も結構多いです。

その理由は、経験したことのない法的手続き(競売)が進行し、期間入札や開札期日が近づいてくるほど、心理的な負担が増してくると捉えられるためです。

競売の期間入札ギリギリで、任意売却を終えたNさんのケース

病気で仕事を辞めてしまい、住宅ローンの支払が難しくなったNさん

勤め先に入社した頃は、いたって健康体であったNさんでしたが、その後、勤め先の業績不振によって、人員削減が進み、Nさんを含む、残された社員の負担が、次第に増していくこととなりました。

しばらくの間は、何とか持ちこたえられましたが、長期間にわたる激務が続いたため、なんと、Nさんは、病気になってしまう状況になったのです。

一旦は、休職をしたNさん。休職期間中は、仕事復帰を優先に考えられていたそうです。

しかし、以前と同じように、仕事を続けていくのが体調管理上、難しく、また、時間の経過とともに、復帰への意欲も次第に薄れ始めていたこともあり、最終的には、Nさん、仕事を辞めることを決めたのでした。

収入源がなくなってしまったので、近い将来、住宅ローンの支払いが困難になるのは、目に見えていました。

そこで、Nさん、すぐに自宅マンションの売却を決めたそうです。

地元の不動産業者に売却依頼

自宅マンションを売却するに際し、複数の不動産業者に査定依頼をしました。

査定をした中で、一番高い査定価格を出したのが、地元の不動産業者でした。

Nさんは、その査定金額で売却ができると信じ、早速、地元不動産業者に売却依頼をされます。

ところが、売却活動が開始されても、売却は一向に進みません。内覧希望者すら現れない状況に…。

そのうちに、住宅ローンを支払うこともできなくなり、ローンを滞納し始めるようになり、まもなくして、期限の利益喪失の通知や代位弁済の手続きなどの書類を受け取ることとなりました。

受け取った書類の意味がよくわからなかったNさん。

状況がよく飲み込めず、また金融機関からも電話連絡がなく、周囲への相談もできなかったことも重なり、誰にも相談せず、何もしないまま、そのまま放置していました。

競売申立手続きと弁護士への相談

その後、何もしないでいたところ、保証会社である債権者が、競売手続きを進め、Nさんは、競売開始決定の通知書を受け取ることとなりました。

予想していなかった状況に、不安がピークに達し、Nさんは、依頼していた地元不動産業者に、ようやく、この事実を伝えます。

すると、返ってきた返答は…

「競売手続きが始まってしまったので、もう売却は無理ですね。」というものでした。

途方に暮れてしまったNさん。

破産をするしかないと思い込み、すぐさま最寄りの弁護士事務所に相談をしたのでした。

ところが、弁護士からは、「競売手続き後でも、任意売却なら、まだ売却ができますよ。あと、必ずしも破産する必要はないです。」ということを言われたそうです。

このとき、初めて任意売却という言葉を知ったNさんは、苦しいながらも、わずかながらも希望を持たれたそうです。

地元業者への売却依頼をすぐさま取りやめ、任意売却を扱う会社へと相談を行い、改めて、売却の依頼をすることとなりました。

ちなみに、この段階では、競売開始決定がなされて、約1ヶ月の時間が経っていました。

任意売却の活動開始

Nさんの自宅マンションは、都内にあったことで、競売開札期日までは残り3ヶ月ほどと見込まれましたが、立地が良かったために、価格次第では十分売却は可能でした。

なお、任意売却における売出価格は、地元不動産業者に依頼していた時の金額と、かなり乖離していましたが、その金額が周辺相場に比べかなり高かったことを知り、逆に驚かれたNさんでした。

売却できることの重要性を、一連の売却活動の中で、誰よりも、よく理解されていたNさん。

早速、任意売却における売出価格にて、売却活動は開始されることとなります。

売却活動後、約1ヶ月経過した頃、購入希望者が現れ、その後、契約手続きが行われました。

買い手側のローン申込に若干、時間がかかりましたが、それでも何とか無事に進められて、競売の期間入札直前で、任意売却を終えることができたのです。

まとめ

上記のNさんのケースを振り返ってみると、地元不動産業者に売却をした段階で、高めの査定金額に惹かれず、売却できる金額で売却活動をしていたら、違う結果もありえたかと思われます。

参考:『高すぎて自宅売却ができず、任意売却

また、当初の売却依頼の段階で、売却に至る経緯や理由をきちんと担当者が聞いていれば、ローン滞納するようになっても、段取りを踏まえたきちんと行動ができたはずです。過度の不安になることもなかったはずでしょう。

ちなみに、このことは、任意売却に限った話はありません。売却にあたって、担当者の初期対応に関わることです。きちんと確認する能力や素質が、不動産売却の担当者として、求められるというわけです。

参考:『電話やメールなどにおける初期応対

さらには、競売手続きに入っても、任意売却は可能であることを理解していれば、自己破産などを考えずに、多少なりとも、時間を確保して、売却を行えたはずでしょう。

この点は、任意売却専門会社と一般不動産仲介業者との間にある、大きな差でもあります。ローンを滞納した方の場合、任意売却を専門に取り扱う会社のほうが有利である理由です。

参考:『任意売却の専門会社と一般の不動産会社の違いは?

参考:『担当者が柔軟な行動をもって対応してくれるか?

競売の手続きが開始されますと、残された時間はわずかです。もちろん、任意売却ができる時間としては、十分あります。

しかし、債権者が要求してくる価格との兼ね合いがある都合上、売却できる確率は、競売手続きに比べると、やはり低くならざるを得ません。

任意売却の手続きを進めても、原則的に、競売手続きを止めることはできません。

上記のようなケースが少なからずあることからも、住宅ローンの支払が難しいと決断したら、基本的には、任意売却を扱う会社に相談をしたほうが好ましいです。