オーバーローン状態での不動産売却は、任意売却にて

オーバーローン

任意売却はオーバーローン状態の際の不動産売却

任意売却とは、ローンの残債務が不動産の売却時価を上回る状態、オーバーローン状態の際の不動産売却のことです。残債務が生じるので、オーバーローンと呼ぶわけです。

基本的には、住宅ローンを滞納し、任意売却をされる方のほとんどの方が、オーバーローンの状態です。

なお、オーバーローンの状態になってしまう原因としては、次のようなものが考えられます。

  • 購入の際、自己資金が少ないこと
  • 新築物件購入時に、フルローンを組むこと
  • ゆとりローンのように、段階的に金利が上昇し、元金が減っていないこと
  • 地域によって、不動産価格の下落幅が大きいこと

…etcです。

基本的には、一部の方を除いて、住宅ローンを組んでいるほとんどの方が、オーバーローンの状態と言っても過言ではないでしょう。

オーバーローン状態では、不動産売却はできないと思い込んでいたMさん

自己都合によって仕事を辞めて住宅ローンを滞納

住宅ローンを利用し、フルローンにて3500万円のマンションを購入した独身のMさん。

購入して、しばらくの間は、ローンを滞りなく支払っていました。

しかし、勤め先への将来性を憂い、Mさん、なんと突然、自己都合によって、勤務先を辞めてしまいます。

会社を辞めた当初は、すぐに転職ができるだろうと思っていたのでしたが、予想外にも転職活動は苦戦しました。

しばらくは、貯蓄もあったので、住宅ローンも支払ってこれたのでしたが、やがてそれも次第に難しくなってきて、最終的には、ローンを滞納するようになってしまったのでした。

もちろん、自宅を売却したら、どのくらいの金額になるのかは、Mさんは知っていましたので、売却が実現できたとしても、オーバーローン状態であることは、十分理解されていました。

しかし、オーバーローンの状態では、完済をしない限り、金融機関は担保を外してくれないのだということを、Mさんは、思い込んでいたので、どうにもならないものとして捉え、銀行から催告書などの書類が来ても、そのままほったらかしにしていたのです。

督促状や催告書などの書類を見ずに…

Mさんは、督促状などの書類を開封もせず、そのまま放置していたので、誠意がない債務者として受けとめた銀行は、期限の利益喪失後、保証会社への代位弁済請求を進めたのであります。

そして、代位弁済がなされた後、即座に、保証会社は競売申立の手続きを取ることになりました。

一方、Mさんは固定資産税の滞納もしていました。

(参考:『任意売却にあたって、滞納した固定資産税は?』)

競売開始決定がなされたのと同時に、役所もそれにあわせて、差押手続きを取ったのであります。

裁判所からの競売開始決定の通知書や役所からの差押書に、目を通さなかったMさんは、そんな状況が進行しているとは、全く知りません。

いつものように過ごしていたMさん

そんなある日のこと。

Mさんは、いつものように過ごしていると、何やら、玄関のほうで、ガチャガチャと不気味な音がするではあーりませんか!

インターフォンの音すら切っていたMさんは、驚きのあまり、玄関扉に駆け寄ります。

恐る恐る、玄関のドアスコープを除いてみると、大人数人が玄関の外にているのが見えます。

…そのうちの一人が、なんと無理やり扉を開けようとしているではありませんか!

驚いたMさん、思わず叫びます。

「何をしているんですか!」

そこから返された言葉は、なんと…

「裁判所の者です。競売の調査のために来ました。」というものでした。

競売手続きが進行していて、ようやく、状況が飲み込めたMさんなのでありました。

オーバーローンの状態での売却方法(任意売却)を知ったMさん

Mさんは、裁判所の執行官から、オーバーローンの状態でも、任意売却であれば、売却が可能ということを告げられて、驚きます。

任意売却を知ったMさん。すぐさま、手続きをとるため、任意売却の会社に依頼をします。

競売開札期日まで、約3ヶ月ほど。また、Mさんの自宅には、税金の差し押さえられたがなされた状態でもありました。

しかしながら、Mさんのご自宅は、立地も良かったので、売却は十分可能でした。

任意売却のことを知ったMさんは、自宅に住めることもあとわずかであることを認識し、お引越しの準備もすぐさま進めたのです。

Mさんのその後

幸い、任意売却の活動を開始して、1ヶ月ほどで、買い手が現れ、無事に契約を済ませることができました。

税金の差押登記もなされてはいましたが、全額納付まではいかなかったものの、何とか差押を解除してもらう合意も取り付け、その後、保証会社からの担保解除による承諾も得られ、無事に任意売却を完了することができました。

債務が1000万円ほど残りましたが、任意売却の段階で、誠意ある行動を見せたので、毎月わずかながらの支払いで、分割弁済を認めてもらうことも可能となったのです。

任意売却を終えた段階で、Mさんから出た言葉は…

「オーバーローンの状態でも、売却(任意売却)ができることを知っていたら、もっと早く動いていたのに。」というものでした。

まとめ

オーバーローンの状態でも、任意売却という方法で、自宅を売却することは可能です。

債権者が1社だけであれば、任意売却を進めるうえでは、特に大きな問題はないのです。

が、一方で、債権者が複数いますと、担保解除の交渉に多大な時間が取られることになり、本来できたはずの任意売却ができなくなる可能性もあります。差押がされているともなれば、差押解除の交渉も必須なので、なおさらです。

任意売却は、オーバーローンの状態なので、担保や差押解除にあたっては、すべての債権者の承諾が必要になります。

Mさんのように、競売開始決定がなされた後、任意売却を依頼すると、時間的な制約もあります。

任意売却を希望される方は、住宅ローンを滞納し始める段階で、検討されるのが良いでしょう。

自宅を差し押さえられる前に、行動を起こせば、早期解決も望めます。税金も事前に申出をすれば、差押を回避することもできます。

参考:『税金の分割納付申出後の任意売却

何事も迅速な行動が大事です。住宅ローンの支払いが難しいと判断したら、すぐに行動をしましょう。任意売却以外にも解決方法はありえます。

参考:『任意売却を始めるにあたって、大事な最初の行動【前編】