連帯保証人の承諾を得て任意売却

債務に連帯保証人が付いている場合、原則論として、金融機関などの債権者は、任意売却に際しての条件として、連帯保証人の承諾を求めてきます。

参考:『任意売却と連帯保証人

一方で、「借入債務が残ってしまうなんて、連帯保証人には言いたくは…。しかも、承諾なんて…。」というのが、主たる債務者の本音です。

しかしながら、やはり、これは、通過点の一つとして乗り越えていかなければならないことでしょう。

現に、連帯保証人に迷惑をかけているのですから、それ以上迷惑をかけないように、主債務者の率先した行動が必要となってきます。

債権者が連帯保証人の承諾を求めてくる前の段階で、誠意ある対応は必要です。

連帯保証人の承諾を得て任意売却したAさんのケース

購入時、奥様の親御様が連帯保証人になってくれたAさん

約15年前、自宅マンションを5000万円で購入したAさん。

当時の年収は800万円。自己資金も500万円ほどを組入れてのマンション購入。

ただし、購入にあたっては、金融機関から定期収入を得ている連帯保証人を融資条件として求められたために、専業主婦であった奥様ではなく、奥様の御父様が連帯保証人となり、マンションを購入されたのでした。

マンション購入後しばらくは、特に何事もなく、平穏な日々が過ぎました。

教育費の支出と賞与の大幅カットが原因で、ローン返済が困難に…

ところが、3人のお子様の成長とともに、お子様が私立学校への進学をすることになったので、次第に塾関連の教育費がかさむようになり、Aさんのローン支払いは次第に苦しくなっていきます。

さらには、折しもの不況。

追い打ちをかけるかのように、勤め先の売上減少に伴い、Aさんのボーナスが大幅にカットされてしまいました。

奥様もパートに出て、これまでは、やりくりはしてきましたが、ボーナスがカットされたことが決定打となり、さらに収支が悪化してしまいました。

連帯保証人の件で、任意売却をするべきかどうかを迷ったAさん

勉強熱心であったAさんは、ローンの支払が苦しくなり始めた頃から、インターネットでいろいろと調べていました。

その最中で、任意売却のことを知ったのです。

もちろん、ローンの支払いが苦しく、任意売却せざるを得ない状況は、Aさん自身が、誰よりもわかっていたのでしたが、連帯保証人になってくれた義理の御父様のことが気になり、なかなか思い切った決断ができずにいました。

こうした中、迷っているだけで、何もせずにいることはよくないと考えたAさんは、意を決し、任意売却の専門会社に相談をされたのでした。

任意売却の相談

任意売却の相談では、「連帯保証人に何とか迷惑をかけない方法がないか」を改めて聞かれたAさんでしたが、あいにくそのような方法はないことを知り、少なからずがっくりとされます。

しかし、Aさん自身、何もしないでいることは良くないと捉えていたため、最終的には、競売ではなく、任意売却にて進めることを決意します。

なお、懸念事項であった連帯保証人の件は、相談の結果、Aさんと任意売却担当スタッフが連帯保証人(義父様)を交えて話を進めることとなりました。

義父様(連帯保証人)との話し合いと任意売却の承諾

連帯保証人である義父様との話し合いは、Aさんの奥様と同席のもと行われました。

奥様にとっては、実父ですので、残債務の件で、迷惑をかけるとはいえ、ある程度割り切った考えを持てていました。が、Aさんは、立場上、そんな気持ちが持てるわけでなく、申し訳ないという気持ちが一杯で、緊張が隠せませんでした。

そんなわけでしたので、話し合いは、終始、スタッフ主導の元で進められていくこととなります。

当初、義父様(連帯保証人)からの叱責も覚悟していましたが、予想にも反して、義父様の対応は、極めて冷静沈着。

そのおかげもあってか、任意売却に関する話し合いは、粛々と進められていき、結果としては、好意的に任意売却に関する承諾を得る運びとなりました。

これを受けて、ホッとされたのは、Aさんでした。

任意売却の活動開始

義父様の承諾を得た後、ボーナス返済が難しかったタイミングを機に、Aさんのローン返済は止まることとなります。

その後、6ヶ月ほど経た段階で、期限の利益は喪失。

まもなくして、任意売却の活動が開始されました。

幸い、Aさんのマンションは、立地が良かったこともあわさり、売却活動を開始してから、2ヶ月ほどで、買い手が現れました。

Aさんご家族は、無事に引っ越しを済ませ、任意売却の手続は完了しました。

その後のAさん

義父様は年金暮らしで、生活をしていくだけ精一杯だったこともあり、債権者からは、毎月の支払金額については、0円で了承がもらえました。

一方、Aさんのほうは、残債務の支払いに関し、債権者から毎月1万円ほどにて了承がもらえました。

債務は、2000万円ほど残りましたが、残債務の請求が、とりあえず、自分自身にとどまっていることで、ホッとされ、「思い切って、よかったです。」と安堵の表情で話されたAさんでありました。

まとめ

法律上では、連帯保証人には支払義務(保証債務)が当然ながら、存在します。

しかし、だからといって、それが、現実に、連帯保証人が残った債務をすべて支払わなくてはならないことには直結するわけではありません。

任意売却後に債務が残るといっても、Aさんのように、連帯保証人に関しての支払は0円となることも、実務上ではあるわけです。

このようなケースは、債権者との前向きな誠意ある話し合いによって、導かれたとも言えるわけであります。

前向きな誠意ある行動が、連帯保証人の負担を軽減することにもなるわけですから、任意売却を検討するような段階になったのなら、まずは連帯保証人を含めた関係当事者への早期対応がとても重要かと存じます。

【補足】連帯保証人の承諾について

Aさんのケースでは、連帯保証人(義父様)との話し合いの前に、奥様が事前に話(※生活収支が苦しいこと)を伝えていたことが、スムーズに進められた大きな要因です。

この点、連帯保証人との関係が疎遠になっている場合(※離婚など)には、話し合いが難航するかと思います。

ただ、そのような場合であっても、客観的な第三者を介在させることで、解決の糸口が見つかることもよくあります。

連帯保証人がいて、任意売却の相談をされる場合、こうした点をも留意し、担当者が柔軟に対応してくれるのかを見極めて、売却依頼をされることが大切です。

参考:『担当者が柔軟な行動をもって対応してくれるか?

連帯保証人からの叱責に耐えられる担当者も、会社選びにあたっては、重要なポイントとなるのかもしれません。

【補足】連帯保証人が資産を有している場合

連帯保証人が不動産など資産を有している場合には、主債務者の任意売却と同時に、連帯保証人の資産を売却しなければならなくなります。

参考:『連帯保証人としての任意売却

したがって、この事態をさけるためには、事前の策を講じることが必要です。

この点からも、繰り返し申し上げていますが、早めの対応(相談)が重要であることが言えるかと存じます。

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