共有名義の奥様を説得して任意売却

共有名義の場合の任意売却

不動産の所有形態が、共有名義である場合、任意売却にあたっては、それぞれの共有者の売却承諾が必要です。

もちろん、普通の不動産売却であっても、当てはまることですので、任意売却に限られるわけではありません。

共有者も所有者である以上、所有形態にかかわらず、売却にあたっては、それぞれの売却意思が必要となるのです。

共有名義の奥様を説得し任意売却をしたHさん

飲食店経営者のHさん

Hさんは10年ほど前に、飲食店を開業。

開業当初は、雑誌などで取り上げられたこともあり、多くのお客さんが来店して賑わい、複数の店舗を展開するなどして、経営は順調に行われていきました。

その後、お店の軌道が順調に乗った頃、開業当初からの従業員であった奥様と結婚をし、まもなくしてお子様が誕生しました。

新たな家族が増えたのを機に、Hさんはマイホーム取得を決意し、4000万円の自宅マンションをフルローンにて購入したのです。

不況による経営困難に直面

すべてが順調に行くかに思われたHさんの未来と事業。

残念なことに、お店の事業は不況の波には打ち勝てず、次第に売上は減少。

一時期、数店舗あったお店も、1店舗までに減らし、閉鎖するなどして、コスト削減に努めてきました。

しかし、そんな努力も虚しく、客足は時間の経過とともにますます遠のくばかり。

生活費を含めた住宅ローン返済までもが、次第に、苦しくなっていったのです。

奥様との諍い

こうした中、奥様もお店の売上を何とか回復させようと、子育てに奮闘しながらも、Hさんを陰ながら支えてきました。

しかし、そんな奥様の気持ちと裏腹に、売上はなかなか思うように回復しません。

次第に、Hさんと奥様との間では、お店のやり方で、些細なことで言い合うようになり、そんなことがつり積もって、口喧嘩が絶えないようになっていきます。

そんな状況が続いたある日、疲れきったHさんが、ふとため息混じりもらした言葉が、奥様を失意の底へと突き落としたのです。

「お店の経営者は、僕なんだから。生活費だって、ちゃんといれてるだろ…。とやかく言ってほしくはない…。」

この言葉を聞いた奥様は、ショックを隠せなく、涙が止まりませんでした。

これまで、子育ての合間を縫って、一緒に頑張ってお店を支えてきた奥様。

Hさんのたった一言のつれない言葉に、今まで頑張って張り詰めた気持ちがすべて崩れ去ってしまったのです。

あまりの辛さに耐えきれず、なんと、奥様は実家に帰ってしまいました。

奥様と連絡が取れず、ローン滞納が開始

Hさんが、事の重大さを知ったのは、それからまもなく。

奥様に何度、メールや電話をしても、出てはもらえない状況に、後悔をする日々が続きました。

これまで、奥様やお子様のためを思い、仕事やローン返済に励んできたHさん。

しかし、自宅マンションにわびしく帰る日が続き、仕事を続けていくことの意味が失いかけていったのでした。

その後、まもなく、ローン返済が止まることとなったのです。

保証会社担当者との話し合いで任意売却を決意

ローン滞納した当初、銀行の担当者からは

「このまま支払わないのであれば、競売になりますよ!」

と執拗に言われていました。

そのことがあり、当初は、競売を覚悟して考えていたHさん。

しかしながら、その後、期限の利益が喪失し、代位弁済がなされた後に、保証会社の担当者と話し合いによって、任意売却を考え始めるようになったのです。

任意売却を検討するようになったのは、協力的に対応することによるメリットを、裏話を含め、任意売却にまつわる事をいろいろと聞けたからでした。

Hさんは、早速、任意売却で進めるために、売却依頼の相談をされることとなります。

任意売却の相談依頼

任意売却で前向きに進めるつもりだったHさんでしたが、一方で、自宅マンションは奥様との共有名義。

そのため、売却にあたっては、共有者である奥様の承諾が必要不可欠。

依頼の際、Hさんは、奥様が実家に帰ってしまい、別居状態が続いていることなどの経緯を詳細に話しました。

これを踏まえ、担当者が間を取り持つべく、奥様の連絡先を聞いて、早速、行動を開始します。

奥様との話し合いに向けた行動

最初は奥様へ連絡しても、電話には出てくれず、また、電話にでてくれるようになっても、なかなか取り合ってくれず、取り付く島もなかった状態。

その後、繰り返し、担当者がアクションを起こし、その気持ちが伝わったせいか、ようやく奥様と会って話ができるまでになったのです。

奥様との話し合いは、数回にわたって、その都度、数時間以上にのぼり、任意売却に関わることやHさんの今の気持ちを、誠意をもって伝えたことで、次第に奥様の心は開いていくようになりました。

やがては、任意売却への方向性も理解され、最終的には、任意売却を受け入れてくれることとなったのです。

任意売却の活動

任意売却の活動が開始されたのは、それからまもなくのこと。

幸い、自宅マンションは奥様の手入れが届いていており、とても綺麗であったこともあり、また、なかなか出ないマンションでありましたので、買い手はすぐに現れました。

その後、Hさんは、奥様と一緒に作業を行い、引越しをされ、任意売却の決済時には、無事に奥様と同席のもと、手続きが完了しました。

お店のほうも、再度また、奥様と一緒に、進めていくことになったHさん。

借入金は、その他にもありましたが、任意売却にあたって、奥様が帰ってきてくれたことで、Hさん、何よりホッとされたようです。

まとめ

任意売却を行うにあたっては、共有者がいる場合、所有者(共有者)の売却意思が必要です。

この場合、承諾が得られないと、任意売却はできません。

参考:『任意売却ができない場合とは?

共有者の承諾が得られていない状況で、競売手続きが進行していますと、任意売却を希望しても、できなくなる可能性があります。

このため、早めの対処が重要です。

補足

任意売却の業務には、Hさんのようなケースまで、含まれているのが実情です。

こうした点までをも踏まえ、任意売却の専門会社と一般会社との違いを理解する必要があるかと存じます。

参考:『任意売却の専門会社と一般の不動産会社の違いは?

任意売却における交渉は、何も債権者交渉だけではありません。

厄介なのは、身内であることも多いのが実情です。

子育て中の女性(奥様)は、特に大変な状況です。

奥様の気持ちが理解できるにとどまらず、どのような話し合いがもてるのか、担当者の対処方法も、見極めることが大事です。

参考:『担当者が柔軟な行動をもって対応してくれるか?

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