初めての任意売却

その他メリットの考察

その他メリットの考察

任意売却のメリット任意売却のデメリットについては、述べた通りです。

その他、多くの任意売却関連サイトにて、メリットとして謳われているものがあります。

これらについて、運営者の考察を、以下に記しました。

任意売却のメリットとして謳われているもの

任意売却のメリットとして、広く一般的に言われているものです。

  • 残った債務の交渉(残債務の分割払いが可能)
  • 費用負担ゼロ・現金負担なし
  • 引っ越し日の融通が利く
  • そのまま住み続けることができる
  • 任意売却にデメリットはない

以下、運営者からの実感と注釈です。

残った債務の交渉(残債務の分割払いが可能)

任意売却と競売とに係る残債務の交渉

任意売却の場合、誠意ある対応を行った結果、残債務の返済金について、柔軟に応じてもらえることは確かです。

しかし、だからと言って、競売の場合に、分割弁済ができなくなってしまうことはありません。

競売で落札されても、残債務の交渉は十分可能です。

競売落札後、債権者から送付されてくる書類

下記書類は、競売落札後、保証会社の窓口であるエム・ユー・フロンティア債権回収から送付されてきたものです。

画像をクリックしますと、拡大表示されます。

競売落札後の債権者からの通知書

現況届

「通知書」には、「又、分割弁済方法等もご相談を承りますので…」という記載があります。同封の「現況届」は、任意売却をする際、依頼主様が記入する書類とほぼ同じものです。

これは、住宅金融支援機構(住宅金融公庫)の場合も当てはまります。(※上記の書式とは異なってきます。)

競売落札後、住宅金融支援機構(住宅金融公庫)の窓口であるサービサーから、「生活状況申出書」という書類が送付されてきます。この書類、任意売却の決済(引渡)前に、売却依頼主様に記入してもらう書類と同じです。

競売であっても、実際には残債務の交渉は可能

実際、競売で落札された後、上記書類を送付して、分割弁済を認めてもらったケースはあります。

したがって、競売になれば、債権者と残債務の相談が全くできなくなることはないです。

この点は、誤解なきよう注意が必要です。

任意売却に限らず、競売で落札されても、残債務の分割弁済は可能!

費用負担ゼロ・現金負担なし

不動産売買仲介手数料等の費用

一般的な不動産売却では、仲介手数料や抹消登記費用などの費用は、売主様の持ち出し負担となります。

しかし、任意売却では、殆どの債権者が、仲介手数料や抹消登記費用などの費用を控除経費として認めています。

したがって、売却依頼主様の費用負担はなく、「費用負担がゼロ・現金負担なし」という文言は妥当します。

新しい居住先へ引越しをするための費用

引越し費用についても、控除経費として認めてくれる債権者はいます。この点も、「費用負担がゼロ・現金負担なし」という文言は確かに妥当します。

ただ、一般的な引越しでは、荷物の搬出搬入費用の他にも、賃貸借契約費用(敷金や礼金、仲介手数料などの費用)がかかるのがほとんどです。

もし、これを含めれば、50万円以上の費用になるのは、言うまでもありません。

あいにくながら、賃貸借契約費用を含めた費用全額を、控除経費として認めてくれる債権者は、ほとんどいません。

よって、この点を踏まえると、完全には、費用の負担はゼロとはいえない…のであります。

誤解なきよう注意が必要です。

実費負担となる費用の発生

書類の郵送料や交通費なども、少額ながら、実費負担(持ち出し現金)が生じます。

この点も、きちんと認識することが重要です。

任意売却だからといって、すべての費用負担が0円になることはない!!

引越し日

任意売却における引越し日の調整

任意売却の場合、売買契約の前段階で、引渡日を設定します。希望があれば、購入希望者に打診を行い、引越し日の調整ができます。

ただし、任意売却であっても、引渡日までの期間設定は、売買契約から1ヶ月間から3ヶ月間程度が一般的です。

半年から1年という長期にわたる希望は実際上、困難です。

競売における引越し日の調整

競売の場合は、代金を納めた時点で、買受人が新所有者となります。、旧所有者が不法占有者となる関係上、引越し日の調整は、任意売却に比べると難しくなります。

しかしながら、競売の場合、引越しをしなければならない時期が、裁判所から送達される通知書によって、把握可能です。

通知書を元にすれば、不法占拠者になることを避けて、引越しすることができます。

裁判所からの通知書

この通知書は、一般的に、競売開札期日の2ヶ月ほど前に送達されます。

書類が手元に届いた時点で、「居住ができるのは、あと3ヶ月間くらいだなぁ…。」と予測ができます。

これを踏まえれば、任意売却であっても、競売であっても、数ヶ月程度を目処とした、引渡日の設定については、さほど変わりがないです。

したがって、任意売却にしかないメリットとして、特段、存在するものではありません。

任意売却であっても、引越し日の希望期間には限度がある!

任意売却であれば、住み続けることが可能

買戻し(リースバック)による任意売却と競売

債権者と価格が折り合えれば、任意売却の場合、買戻し(リースバック)といった身内間売買や投資家による購入によって、住み続けられます。

もちろん、所要の調整が必要ですが、条件面で買主様と話し合いがうまくいけば、住み続けることは可能です。

一方、競売の場合、公開入札となるので、買受人の指定はできません。したがって、買受人に住み続けたい希望を言っても、受け入れてくれることはまずありません。

よって、住み続けられる可能性としては、割合的に任意売却のほうが高いのは確かです。

実際のところは…

しかしながら、実際のところは、任意売却であっても、売却後にそのままそこに住み続けられるケースというのは、極めて稀です。

この件は、同業他社の任意売却担当者にも、ヒアリングを行い、同じ考え(結論)が得られています。

なお、任意売却によって住み続けられるケースが少ない理由は、買戻し(リースバック)を行うための条件が厳しいからです。

以下、難しいと判断される主な理由です。

投資家が買受ける場合

  • 投資家の希望金額で債権者と折り合わない。
  • 将来合意した金額で買い戻さなければならない。
  • 高額物件のリースバックの場合、家賃が高くなる。

身内間売買の場合

  • 身内間売買では、通常の住宅ローンが使えない。
  • 協力者がいないとできない。
  • ローンが使えない場合、多額の現金が必要。
  • 債権者が身内間売買を認めない。

…etcです。

したがって、任意売却であれば、競売よりも、確かに住み続けられる可能性は高いのですが、実際上は、住み続けられるケースというのは、任意売却であっても、割合的には、かなり少ないのだという認識が重要です。

可能性があったとしても、現実としては、住み続けられるケースは少ない!

任意売却にはデメリットはない

任意売却にはデメリットがない」…ということはありえません。

任意売却にも、デメリットは、あります。

どんな物事にも必ず一長一短はあるのです。任意売却も例外ではありません。

任意売却にはデメリットがない…という誤解はされぬよう、注意が必要です。

デメリットをきちんと認識した上で、それらをメリットに変える行動が重要です。

任意売却にもデメリットはある!

まとめ

上記各項目は、任意売却の現場に携わる一担当者の立場から、申し上げたものです。

任意売却のメリットというのは、個々人の状況によって異なってくるものです。

ご身内の方に現金を保有される方がいれば、任意売却によって買戻しをすることも十分可能ですし、また、3ヶ月以上の引越し日の希望があれば、事前に、購入希望者の方にご理解いたただいて、実現することも可能です。

いずれの選択が、売却依頼主様にとって、一番のメリットとなりうるのか、任意売却における現状と擦り合わせて、ご認識いただければと思います。

相談を通じて、自分にあった任意売却のメリットを把握することが大事!